ちょいと前までやれGTDTiddlyWikiだ、なんだ、と騒いでいたワタクシですが、ぢつはその後「やっぱりGTD道にちゃんと則ったナニを使わないとダメなのではないだろうか」という気分になり(自分を型にはめないと不安になるタイプ)、gtd-phpに乗り換えてました。
日本語ではgtd-phpの情報はあまりなかった(とりあげられてはいるんですけどね)ので、最初はなんじゃーと思っていたのですが、しつこく触っているうちに、このアプリが、「すべてをいったんプロジェクトに入れて、そこからactions/waiting on/references/someday maybeに振り分ける」という思想で作られていることを理解し、「なんて型にハマっているんだ!!(注:プラス評価)」とカンドーして、しばらく使っておりました。
ただ、使っていくうちに不満も出てきて、とりわけ致命的だったのは、「すべてはプロジェクトに属すべし」という、この縛りに対する自由度があまりにもなかったこと。それと、ちょっとだけ、インターフェースが分かりにくかった。もしかしたら、ワタシが書いていることはデタラメで、ちゃんとプロジェクトに属さないタスクも作れるのかもしれないけど、半年くらい触っていても分からないのは、やはりUIデザインに多少難がある、と言わざるを得ないでしょう。週次Review機能もちゃんとメインメニューにあるんだけど、あまり使い勝手はよくなかったし。
あと、これを言うと泣けてきてしまうのですが、やはりWebアプリの使い勝手の悪さは、GTDに求められる「手になじむ感」とは相容れないんですな。隣のI氏はRemember the milkを華麗に使いこなしているので、かならずしもwebアプリに本質的に限界がある、というわけではないんですけどね。。
まあ、要するにあんまり触らなくなったんですよ。その頃は「GTDはいいんだけど、結局コラボるときに困るんぢゃねーの?」とかやたら大上段に構えていて、activeCollabとかも触っていたんで、結構頭がごちゃごちゃしていたというのもあるんですが。
で、次に見つけたのがEasyTask。フリーではないので一度はスルーしていたのですが、gtd-phpのもったり感に懲りたので、「やはりネイティヴアプリでしょ」ということでコレをセレクト。mac/win版両方ある、というのも大きかった(USBメモリに本体を入れて、ネットワークでシンクロすればどこでもシゴトができる!みたいなところが萌えポイントですな)。
コレはなかなか良かったです。とにかく、シンプルで。たぶん、コレで十分な人は多いはず。動きもサクサクだし(まあwebアプリと比べたらなんだってそうなんですが)。
だがしかし。謳っているSync機能の実装がしょぼかった。いや、自前でサーバ提供したりとか、なかなかすごい頑張りようなわけですが、いかんせん日本語の同期がぜんぜんできない。これは致命的。あと、iCalとのシンクロもできるんだけど、正直、iCalユーザじゃないから、操作するたんびにiCalがいっしょに開くのはあんまりいい気分はしない、ですな(設定で切れるのかもしれないけど)。
ワタシがツールを選定する縛りの一つは、「自宅でも、職場でも同じものを見られる」というのがあるので(逆に言うと、モバイル環境とかでもカンペキに見られないとダメ、ということでは必ずしも、ない、ということが最近分かってきた)、同期がしょぼい、というのはもう完全圏外なんですね。win版は触ってもいないので評価できませんが、ま、同期問題についてはたぶん一緒でしょう(超適当)。
超有名サイト(たぶん)のlifehacking.jpでも取り上げられていた、Chandlerも触りました。……ま、コレはOutlookの代替品、という側面が強すぎてダメ。メーラーは別に乗り換えたくないので、メールまで統合されたモノはちょっとツラいです。あとは、Webからログインしても同じような画面にアクセスできる、みたいな部分は激しく萌えたんだけど、いかんせん手元のクライアントとwebのアカウントの同期が全然理解できず。断念。
……で、ようやくiGTDのハナシなんですが、すいません、存在は随分前から知っていたんですが、最初は、「名前がチャラい」というただそれだけの理由でシカトしておりました。でも、今回、冷静に考えて、
・mac/win両方で使える、という縛りはそれほど優先順位は高くない
・webでも使える、というのも、スマートフォンに絶望した(笑)今、それほど必要ではない
・とにかく、手帳なみと言わなくても、レスポンス命
という条件で絞った結果、iGTDはスバラしい(んじゃマイカ?)、という結論に到達。共有については、「ファイルサーバに置いた一式を職場/自宅で開く」という超原始的な方法であっさりクリア。二カ所で同時にファイルをオープンするので、ちょっと挙動が怪しいのですが、iGTD自体がこういう状態を想定して、ファイルの保存場所を指定できるんですね。で、たとえば職場で作業して、立ち上げっぱなしで自宅に戻ったら、いったんiGTDを再起動すれば作業再開。まっとうなデータベースシステムのように、行単位でのロック的なナニとはほど遠いハナシで、正確には同期、というのとは少し違うけれども、やりたいことはできているので問題なしです。サーバがちょっと遅いので、レスポンスは実はあまり良くないのですが、まあ、許容範囲です。
実際に触った感触としては、やはりネイティヴアプリならではの「チェックすると線が入る」「Drag&Drop」的なeye candyが素晴らしい(Ajaxでも実現は可能だと思うけど)。また、「とりあえず置いとく」的なInboxが存在していて、あとからプロジェクトやコンテクストを追加できる、というスタイルで、「人というものの弱さ」を知っているなオヌシ、というUI思想が随所に感じられ、好感度大です。さらに、ファンクションキーで呼び出してタスク書く、とか、QuickSilverで一発書き込みとか、メールからも書き込みイケルよ、とか、その手の道筋が何本も引かれているのも、「よく分かっていらっしゃる☆」という感じ。まあ、大体の機能はぢつはEasyTaskとかぶっているんですけどね……。
あー、でも、プロジェクトを階層化できるかどうか、っていうのは大きいな。結局、「あとで階層化できるかどうか」という担保があってはじめて、プロジェクトを切るときに「この粒度は適切なのかハテ」という疑念で立ち止まらずに、「よーしパパこんな大きな概念でプロジェクト切っちゃうぞ〜」と、躊躇無く大風呂敷を広げられるワケで、これは一見事態を複雑化させるようでいて、かならずしもそうではない、なかなか重要な機能なのです(私にとっては、ですけどね)。
# 今はまだつかってないけど、contextsも階層化できるしね。
なにより、このアプリを触っていて、ようやく
・「タスク」の5分類に加え、場所文脈+時間文脈の属性づけ
・上記三つの次元から分解済みのタスクを絶えず見返すことによって、物事の優先順位が時々刻々、TPOで変化する、ということを脳にフィードバックさせる
ということが多少なりともできるようになり、GTD3級くらいにはなれたのではないか、と(ちなみにGTD4級では、「さまざまな物事を脳から追い出す」ことの重要性が理解出来ればOKです)。効率云々よりも、このことが最大の収穫、ですね。
ちなみに、gtd-phpでは”spacial contexts”と、”temporal contexts”とゆうのがあって、それぞれマトリクスで見られる、的な機能があったんだけど、まあ、ソレは正しいんだけどちょっと教条的すぎるかな、と。”temporal”には”short”とか”medium”とか入れられるんですが、そんなの、何十、何百とできるであろうタスクのひとつひとつに入れて、ひとつひとつを週次レビューでメンテできるわけがない、と思うワケです。そうすると、締切がかなり重要なタスクだけ日付を入れて、みたいな方が現実的かな、と。
というわけで、ここ二週間ばかりはほどよく使っております。さて、今度こそ続くかな?(この項、続くカモ)